5/13/2012

à la française

フランスの新大統領にフランソワ・オランドが決まった。
最近の誌面はヨーロッパの大国・フランスが担う欧州経済の重要性を説き、その舵取りをするオランド氏に注目している。

留学中にヨーロッパ各国の友人たちと友だちになったのだが、テニスがきっかけでフランス人留学生のコミュニティに(運良く)入り込むことができた僕は、フランスのお国柄と国民性をかなり身近に感じていた。
そしてそのフランス人に対する、近隣ヨーロッパ諸国の(大体が辛辣な)意見も色々と聞いて、苦笑いをすることが多かった。

そのお国柄というのは、僕がここで再び羅列する必要もないと思うけれど、「芸術家気取り」「気取っている」「ルーズ」「愛国心の塊」などなど。

さて、それでも世界は、フランスに一目置いてしまう。
芸術や麗しい国である反面、強い経済力があり、原発が58基もあり、軍事的・外交的にもかなりのプレッシャーを持つ脅威になりうる要素を持ちあわせている国。
であるのに、"à la française"(フランス風)という言葉に人々は惹かれてしまう。

フランスで大学入学試験をえるための全国入学試験にこんな問題が出たらしい。
夜更け、セーヌ湖畔で1人の娼婦がいままさに川へ飛び込もうとするところに出会う。君は言葉だけで彼女の投身自殺を止められるか。死を思いとどまらせ、ふたたびこの世で生きていく元気を与えるよう説得を試みよ。
こんな問題が出題されるところから、さすがフランスといったところなのだろうが、「ふふふ」に掲載されている解答はフランスそのもの。
後の作家アンドレ・マルローの合格したという解答はこうだという。
「『わたしと結婚してください』と説得するしかありません。」
フランスは愛に満ち溢れている。
愛とか恋とかそういったものは、昨日のエントリーでも書いたとおり人類普遍のテーマであり、定量的につかまえられるものではなく、複雑になりがち。
だけれど、フランス人はそれを気取らずに、おおっぴらに、シンプルに、 感覚的に、まるで呼吸をするかのように自然に取り扱っているようだ。
そんな様に、世界の目は「羨ましく、憎たらしくも、真似できない」。そんな感情を抱いているように思える。

感覚的な遺伝子を代々受け継いだフランスも、政治・経済という分野では定量的にしっかりとした成果をださなければならない。
感覚と定量、伝統と革新の間で揺れ動く、オランド氏とフランスの今後の言動に注目したい。

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