9/04/2016

夏の思い出としての映画、『君の名は。』

彼女との約束を反故にして、安く映画見れるチケットも使わずに、他にもやらなければならないことがあるのに、ただただ衝動に駆られて1人で映画を見てきた。

新海誠『君の名は。』



僕の好きなRADWIMPSが全編の音楽を手がけていて、見たいと思っていたけれど仕事や勉強で忙しく、後回しにしていた。

今日、久々に東京の地元に帰ってきて、晴れ空を見上げた。
夏の空だった。
ピークを過ぎ去り、もうすぐ終わりに向かう美しく、そしてどこか懐かしい夏の空だった。

小さいころの夏の思い出は、母さんと、弟と、池袋に映画を見に行くことだった。
人混みだらけのサンシャインシティ60通りを行く。
ポケモンであったり、クレヨンしんちゃんだったり、大抵なにかのアニメの映画を見る。
その帰りにはゲームセンターでゲームをして、デパ地下でジェラートを買ってもらう。
なんでもない夏休みだけれど、だからこそ、しっとりと心に染み付いた僕の夏の思い出となっている。

年をとって、大人になって、今でも映画は見る。
けれど、そこには「夏の思い出」を喚起させるものは、ない。
季節を問わず映画を見に行くようになってしまったし、意中の人と近づきたいという下心があったり、好きな人との、数多あるデートプランの1つとして映画を見るようになってしまっている。
それを悪いとは思わないけれど、小さいころのような純粋な気持ちだけを抱いて映画を見たことが久しくないことに気がついた。

そんなことを歩きながら考えていたら、たまらなく映画が見たくなって、その足で見に行ってしまった。



映画はとにかく良かった。
鳥肌が立つぐらい甘酸っぱい青春の映画だった。でも、それをたくさんの大人が本気で届けているという事実。
子供は、子供なりにこの映画から何かを得るだろう。
大人は、かつての子どもとして何かを悟るだろう。
少し笑ったし、たくさん泣いたし、
なんか色々と話したくなった。

「おーい、今晩暇?俺今東京にいるんだけど、飲もうぜ!」

そう言って集まってきてくれた小学校時代の親友たち、4人。
数年ぶりに会った奴もいたけれど、思い出は腐らない。
小学校の時の足の速さ、自転車で繰り出した小さな冒険、意味もなく集めまくったオナモミと酒蓋、 恋愛と、映画の話。
飲み屋の閉店まで飲み続けて、友達の家で奥さんに怒られそうになるギリギリまで酒を飲んだ。

買い出しに行ってきた馬鹿野郎が花火を買ってきて、やろうぜ!って言って火をつけた。
晩夏の花火。
きっと、27歳になった今年の夏のハイライトは今日になるだろう。

子供は大人ではない。
でも、大人はきっと大きくなった子供だ。いつまでも。

兵庫、いまっち、隼人、たけち、ありがとう。
今日は本当に良い一日だった。