7/06/2013

新聞ななめ読み in America

アメリカに来て4日。
時差ボケもなくなって徐々に生活のリズムを取り戻してきたので、街をぶらぶら歩きながら新聞を買って読んだ。サンフランシスコの地域紙であるSan Francisco Chronicleとニューヨークの新聞で全米で3番目の発行数を誇るNew York Times。


先ず目についたのが日本の選挙戦の記事。ChronicleにもTimesにも安倍首相の写真が載っており、見出しはそれぞれ、
"Ban Lifted, Japan's Politicians Race Online"
"Prime minister rallies for party seats"
7月21日に控えた参議院選挙の選挙戦がスタートしたことを伝える。そして今夏の選挙から解禁されたネット選挙について、Timesはかなり詳しく報じている。記事を以下抜粋。
Campaign truck. White cotton gloves. Facebook. A rewriting of Japan's rigid election laws has brought about a sea change in electioneering customs here, previously limited to sound trucks, pamphlets and good old handshakes on the street.
Still, it is foolish to assume that an aggressive Web strategy will immediately translate into votes.
Japan is an early adopter of social media in other spheres of public life, it has lagged behind less developed countries in using the Internet for political campaigning. Candidates in Egypt and Tunisia, which held their first democratic elections only in the last two years, made extensive use of social media.
(New York Times)
最後のパラグラフで、「チュニジアやエジプトのここ最近2年間の民主的な選挙ではSNSが既に使われていたのに、日本はずーっと政治活動に適用されていなかった」というところが日本を皮肉っているけれど、その民主化したエジプトのモルシ大統領が軍のクーデターで身柄を拘束されてしまっている。これについてもTimesは3ページに渡って特集をしていた。
By all accounts, the governments removed the democratically elected president, put him in detention, arrested his allies and suspended the Constitution. Army vehicles and soldiers in riot gear roamed the street, while jet fighters roared overhead.
(New York Times) 
こんな状況でありながらも、軍はクーデター(coup d'etat)ではないと言っている、民主化を止めてはいけないという論調が紙面から伺えた。
「民主化」「デモクラシー」は、チュニジアを旅して以来、自分の中でいろいろと疑問が芽生えてきたキーワード。果たして民主主義は正義なのか。先進国である日本やアメリカの押し付け民主主義は世界を平和にするのか。エジプトのクーデターから再び考える。


Timesの他の記事で興味深かったのは、atheist(無神論者)が建立したモニュメントが話題になっているという記事。アメリカはキリスト教の国。しかし、キリスト教が政治でも経済でも日常においても色々と特権(privilege)を握っており、それを是正せよと無神論者団体が主張している。日本では話題にならないだろうけれど、"God"というキーワードが大統領の演説、憲法、すべてのお札の上などにも出てくるこの国は、神様あっての国。(ちなみに、宗教の自由があるからあくまでもGodであって、Jesusではない。ユダヤ教やイスラム教、その他の宗教にも建前上は寛容)宗教の不平等を訴えたり無神論者であることを主張することは、特にコンサバな田舎ではやはり難しいようだ。この国の宗教論争についてはまた詳しく考えて書きたい。


もっとリベラルな地元紙のChronicleの記事は、現在進行中のBARTのストライキについてや、先週アメリカの最高裁で可決された同性婚の続報についての記事が大きい。

BARTはSan Franciscoとその他のBay Areaをつなぐ重要な鉄道なのだけれど、今週の月曜日からストライキが始まった。アメリカの景気が好感であることを背景に、労働者団体(worker unions)が賃上げや福利厚生の向上を求めて運行を停止、サンフランシスコが半分陸の孤島のようになっており、経済面に与えるダメージがとても大きい。運行再開を明日からするようだけれど、まだ会社側と労働者側で調停はかわされていない。

同性婚については、カリフォルニアではとにかく複雑である。カリフォルニアの州法提案Prop.8が同性婚を禁止しているけれど、先週の連邦政府最高裁でその提案が棄却された。つまり、州の多数派が制定した法律を、お上である連邦が否定したわけである。制度としてはこれでカリフォルニアも同性婚が認められたのだが、そう簡単にはいかないらしい。
At the same time that the U.S. Supreme Court was opening the door last week for gays and lesbians to marry in California, the court took another step in a long, conservative-led campaign took to narrow the doors to the nation's federal courthouses.
合衆国という国の仕組みと、日本とは少しことなる立法と司法の制度がもたらした様々な問題を勉強したからわかる、この国の社会問題。これもまたいつか詳しく書きたい。


日本では新聞を最低でも2紙、日々読み比べていた。
新聞は時事問題を広くまんべんなく取り扱ってくれる。そして継続して読むことで、その新聞社の持つ「色」が見えてきて、それを理解して自分なりに補正をすることでものごとの「意見」ではなく「事実」が見えるようになる。
こちらでも、なるべく新聞には目を通して、アメリカの社会問題やアメリカから見た日本や世界の姿、そして様々なことを考える種をみつけられるようになりたい。


0 件のコメント:

コメントを投稿