24時45分、今もまだダウンタウンの方から花火と爆竹の音が聞こえてくる。
今日は7月4日。アメリカの10日間しかないNational Holidayの1つ、独立記念日(Independence Day)だった。インディペンデンス・デイと聞くとウィル・スミスが出演している映画を思い出してしまうけれど、その元ネタとなっているのが今日。
1775年4月(わずか240年前!)にイギリスからの植民者たちは、アメリカ大陸につくりあげた13の植民地の独立を求めてイギリスと戦争を始める。翌年7月4日に「独立宣言」を発表…「イギリスの植民地」が「アメリカ」という国になったアメリカの歴史上大切な日である。
この日を祝うときに、"Happy Independence Day!"とは言わない。
みな口をそろえて日付を読み上げて祝う。
"Happy the Fourth!" "Happy Fourth of July!"
街には星条旗柄の服や小物を着けた人で溢れ、花火を盛大にあげて祝う。
家族とBBQをしたり、野外でピクニックをしたりするのがオーソドックスな祝い方らしく、友達に誘われてDolores Parkでピクニックをした。
何度も友達と集まってのんびりしていた僕の大好きな公園は、たくさんのリラックスした人と、プチ野外コンサートを聞く人で埋めつくされていた。
友達の友達が来ては、"hi, I'm ~"と握手をする。それだけの簡単な自己紹介を交わして近くに座って行く。そしてその友達の友達が来て…を繰り返し、5人だったのが、10人、15人とどんどん人の輪が増えていく。けれど、別にお互い話さなきゃいけない!という気持ちはなくて、みんなただ自然に集まって飲んで楽しんでるだけ。
日本ではやろうと思ってもなぜだか出来ない、この薄っぺらく広がっていくコミュニティを久々に体験して、なんだか懐かしかった。
「2年ぶりだね、どうしてた?」
マレーシア系アメリカ人のMikeとその彼女のShannonはまだ学生。Shannonは相変わらずの人をわらかすのんびりキャラで、再会の瞬間に思いっきりハグをしてくれた。
インドネシア系のJonは、ダウンタウンに新しくできたユニクロで正社員として働いていた。新しくできた彼女のMaryとは職場で出会ったらしく、二人共幸せそうだった。
ビールを飲みながら、僕の2年間の旅の話や勉強の話、仕事やインターンシップのこと、ユニクロがブラック企業と言われていることや、ブラック企業とは何か、みんなバックグラウンドにアメリカではないものを持っているので、アメリカって国は〜…そんな話が尽きなかった。
暗くなり、Pierに行くと花火を見るためにものすごい数の人が集まっていた。
「フラッグ、1$だよー!」
そんな商売をしている親子を写真にとっていたらお母さんが突然話しかけてきた。怒られるかと思ったら、
「ねぇ、その写真、私のメールに送ってよ!携帯の電池が切れちゃって写真が撮れないのよ」
「あ、わかりました、送ります」
「ありがとう!じゃあフラッグあげる。さっきたくさんそこで貰ったもんだからお金はいらないわ。Happy Fourth!」
貰ったフラッグを売ろうとしてたんだね、お母さん。最近サンフランシスコに来て、
出稼ぎに来ているのだと教えてくれた。
フラッグと小さな思い出をもらった。
この2年間のあいだ、大切だと思って自主的に学んできた歴史、国際関係のこと、日本や世界の経済のこと、政治のこと。それらの知識がなければ、アメリカのこの祝日のことをただのお祭り騒ぎする祝日としか形容できなかっただろうし、友達との会話も深くは語れず、フラッグをくれたお母さんの懐事情なんかも気に出来なかったと思う。
2年間の自分自身の小さな成長と、変わらずクレイジーなこの街と人、問題と矛盾だらけなのに好きになってしまうアメリカという国。それらを感じることのできた貴重な1日だった。
Happy Fourth!
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