6/06/2012

『89』が『違法』となる国

6月5日の日経新聞朝刊、国際面より。
"北京の外資系企業に務める範秀花(仮名、23)は最近、自分が生まれた1989年の「89」の数字をミニブログのアカウント情報に書き込もうとiPhoneに打ち込んだ。突然「違法」と表示され驚く。中国のネット上で6月4日が近づくと「89」はタブー。範さんはそのとき初めて気付いた。"
1989年6月4日。
この日、中国・北京で天安門事件が発生。自由と民主を求めた学生を中心としたデモ活動に対して、中国共産党・政府が武力で制圧した。
…綺麗な言葉で書けばこのとおりだが、もっと簡単にわかりやすく言えば、自由を訴え集まった一般市民に対して、政府が戦車と軍隊を出動させ、実弾を放ち、虐殺した。正確な死亡者数はわかっておらず、500人〜1000人、一説には3000もの人が証拠もなく殺されたのではないかと言われている。惨劇だ。

天安門事件で戦車の前に立ちはだかる男性

この事件後、中国共産党・政府は様々な隠蔽作戦や忘却政策、ネットの検閲を施し、この事件がなかったかのように振る舞い、人権ではなく経済発展を優先。結果、中国は日本を抜き米国に次ぐ世界第二位の経済大国となった。90年代と比べれば、経済自由化が進み、人権状況も改善しているという。けれど、冒頭の引用にあったように、政府によるネット規制の手は23年がたった現在でも緩まない。むしろ、中国内におけるスマートフォン利用者が2億人まで急増し、市民が様々な方法で規制情報にアクセス出来るようになった結果、政府は規制・管理のハードルを上げているという。
単純な「89」という数字が「違法」とされてしまう国。何かがおかしい。

今日の朝刊を見るまで、恥ずかしいことに、僕はこの天安門事件のことを全く知らなかった。しかし、冒頭の引用の彼のその後のコメントが、僕の気持ちと一致した。
"その後、事件の実葉を関係者から聞いた範さんは「打ち込めない『89』の謎をもう少し勉強したくなった。生まれた年の事件だし、海外では皆知っているのだから。」と意欲を示す。"
『89』は僕にとっては特別な数字。
範さんと同じく1989年に生まれ、さらに誕生日は8月9日。適当な二桁の数字と問われたらこの数字を口にする。タイプしろと言われれればこの数字を打つ。すると、『違法』だと言われる。これって、やっぱりそうとうおかしい。

世界中では日々、様々な事件が起こっている。
今日の大事件も明日には数字と言葉でしか伝えられない歴史となっていき、それゆえに現在までの全ての歴史を網羅するというのは不可能だ。
だったら、その中で、適当な理由(或は直感とも言う)で目についた事件について深く知ってみようとすることが大事。

この天安門事件は、僕と同じ年の歴史を持ち、今でも終わらない生きている事件。そして僕のラッキーナンバーを『違法』にさせてしまう事件。
日々新聞やニュースから得る情報よりすこし深く、じっくりと、この事件と隣の大国について知ってみたい。
そんなことを思った。


 

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