「悲観は気分であり、楽観は意思である」
アラン『幸福論』
僕の好きなアランの言葉。必要最小限の言葉で、人生を楽しむための秘訣を惜しみなく伝えていると思う。
どんな悲劇、苦痛、トラブルに見舞われたとしても、もちろんその直後は悲観に支配され涙流し怒り狂うことがあろうとも、そこから先は意思の力で楽観的に考えることが『幸福』につながる。この言葉に出会ってから、僕は意思を強く持とうと決意した。気分に従い続けていては悲観に陥る。『どうすればこの状況を楽しめるかな、ハッピーにできるかな』、意思の力で考え方や見方を少し変えるだけで、突如として楽しさが倍増する。
今日は小さなトラブルの後に見つけた楽観、思いがけない幸福の話。
イグアスに来ています。
世界的に有名なイグアスの滝を観光し、その迫力に圧倒されながらも、とてーも観光地ナイズされてしまっている自然公園にちょっぴりがっかりしながら帰ってきた観光拠点の街、プエルト・イグアス。リオデジャネイロ行きのバスチケットを買うオフィスで3人の日本人と出会い、夕食を共にした。
世界一周の旅の終盤を迎えたダイキ君(夕飯は彼が作ってくれた、酢豚!美味。)、そしてデフ、難聴でありながら同じく世界を旅するユーヤ君、チハルちゃん。後から加わった異国情緒溢れる美人・みゆきちゃんとともに、手話のこと、写真のこと、旅のことなどを語り合い、とても楽しい時間を過ごした。
時刻も11:00を過ぎ、僕が少し離れた宿へと帰ろうと思った矢先に、ホステルの明かりが突然落ちた。街全体が停電し、真っ暗闇に襲われた。インドやチュニジアなどで何度か経験してる突然の停電なので、あまり焦ることなく、携帯のライトを点け、「じゃあね、お互い良い旅を!」と声をかけあって外に出た。何も見えないな、無事に宿に帰れるかなと思い空に顔を向けた瞬間、目を奪われた。そこには満点の星空が広がっていた。
昨日は新月。さらにプエルト・イグアスはさほど大きくない街で、周りは自然に囲まれているため、星がよく見えた。停電というトラブルに慌てたり、不安な足元に気をとられる人も多くいるのだろうけれど、視線を天に向けると停電したからこそ出会えた景色が広がる。どうすれば停電というアクシデントを楽しめるか…。自分が南半球に来ていることにハッと気づき、すぐにiPhoneを取り出して、"StarChart"を起動し、星空に向け、日本本土からは見えない南十字星、サザンクロスを探した。
ケンタウロス座の足元に控えめに光る4つの星。サザンクロスは小さく、思いがけず高い南東の空にあった。それから停電が復旧するまでの数分間、側から見れば変なアジア人と思われていただろうほど夢中にiPhoneを空にかざしていた。冬の南天を飾るオリオンは北の空に横たわり、大熊座の額の上のPolaris・北極星は地平に隠れていた。自分自身が日本とは離れた場所にいることを星空が教えてくれた。
停電は当然、トラブルであり歓迎することではないけれど、僕はそこから満点の星空を眺める機会を見つけた。これは些細な(そしてちょっと子供じみてロマンティックな)例であるけれど、どんなトラブルに見舞われても、気持ちを切り替え、そこから新たな楽しみを見つけ出す。そうやって常に学び常に楽しむ生き方をこれからもしていきたいと思う。
「悲観は気分であり、楽観は意思である」
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