研究室の書棚に、『英語で日本のこと話そう』という本があった。
525円という安くて、薄い本。内容もその表題からわかるように、日本の風習を英語ですごーく簡単に説明するというもの。文化的背景の説明もほとんどない。英語のストレートな表現で書かれた日本の文化。以下に、少しだけ文を引用・紹介。
To disagree with someone ca be sometimes considered impolite.
→誰かの意見に反対するということは、ときに無礼であると考えられる。
When drinking beer or sake, it is a Japanese custom to serve everybody else rather than pouring beverage into your own glass.
→飲み会の席ではお互いに酒をつぎあう。
There are even students who commit suicide because of being bullied.
→いじめ問題。日本の自殺率は世界で5位だ。
Recently, we've got cars just for females to avoid sexual harassment against women.
→女性専用車両は、おそらく日本にしかないもの。すこしでも身体が触れ合ったら"Excuse me!"って声をかけるのが当然の欧米人にとって、満員電車はかなりの地獄だろう。
Talking of religious in Japan, not many Japanese really thing that they are Buddhist.
→日本人の多くは、自分達が仏教徒であることを知らない。無宗教であると言うことはしっかりした理由が述べられないと場合によっては無節操だと思われる。
Go-kon is a party arranged to find boyfriends and girlfriends among different groups.
→僕の知る限り、合コンなんて文化は海外にはない。(韓国あたりにはありそうだけれど)
こんな、日本独自の文化や問題。僕は決して、
「海外にはそんなことやっている奴はいない。だから辞めようぜ」と安直に言いたいから引用したのではない。それが世界のスタンダードなのか、日本のガラパゴス文化なのか、しっかりと理解することが大事だと思っているからである。文化の違いを知り理解することは、他人の発言は発言として、自分の意見をきちんと持つことにつながる。そしてガラパゴス文化には、とても貴重な価値があるということを再認識することにもつながる。
例えば、
「日本では麺類を音を立てて食べるけれど、これは世界では行儀の悪いことだよ」と言われて、「そうですか、では音を立てずに食べましょう」というのは僕はいかんと思う。
「いやいや、世界では行儀が悪くても、日本人にとっては、そばは音を立てて食べた方が美味いんだよ!でも、パスタはすすらずに食べてみるね。」そんな風に自分たちの価値ある文化を守り、それでいてスタンダードに歩み寄るような、バランス感覚を持った正しい意見を述べることが大事じゃないだろうか。
同時に、当たり前となってしまったけれど大きく世界のスタンダードから離脱してしまった悪しき習慣を見つけ、それを是正するソリューションを考える努力も大事だと思う。先進国の中でもダントツの自殺率。以前のブログでも書いた(→「親切量」の配分について考える)で書いたような「ありがとう」や「小さな親切」の欠如。セクシャル・ハラスメント。世界的に見ても異質な問題は、世界の事例や自らの体験・思考をもとに「脳内比較文化論」を繰り広げて、自分や社会にとっての最適解を見つけたい。
脳内比較文化論を行うために、大事なリソースは、何よりも自分たちの文化を深く知ること。留学から帰ってきたり、長期の海外旅行から帰ってきた人がみな口をそろえて言うことが
「日本の文化を全く知らないということを知った」ということ。僕もそう。留学中や帰国後に日本の文化や宗教や習慣にとても敏感になり、自分なりにアンテナを張って学んでいるつもりだ。
今までは本などからの知識が多かったけれど、やっぱり見て感じることが大事。というわけで、今年の春休みは日本を少し見て回ろうと思って、買ったのがこれ。
世界で一番のシェアを持つ英語のガイドブック"lonely planet"の"Japan"。
日本に来る旅行者の多くはこの本を持ち、2週間ぐらいの短期間で東京、広島、京都などを訪れ、そして日本がどういう国であったかをジャッジして、母国の友人や家族に報告する。それが世界中の人々が行う「脳内比較文化論」の日本の文化となる。そうであるなら、そういう視点で日本を見ることは大事だし、なによりも発見が多いはず。自分自身が知ってるつもりだけれど実は知らなかったこと、そんなことを見て知り感じたい。
"Trying to be like an inside-outsider."
日本人にいながら、外からくる人の目線で日本を楽しむ、そんなインサイド・アウトサイダーを目指して、旅の準備を始める。
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