カップを持つだけで幸せな気分にさせてくれるスタバ。
高いけれど静かで時間の流れがゆっくりな喫茶店。
ノマドワーカーやESライターが集う活気溢れるカフェ。
新進気鋭のスペシャリティコーヒーを取り扱うロースター&スタンド。
色々な場所で様々なコーヒーが飲める。
苦いもの。薄いもの。高いもの。安いもの。静かなもの。騒がしいもの。ブレンドしたもの。シングルオリジンのもの。インスタントなもの。丁寧に淹れたもの。
なんで僕はコーヒーが好きなんだろう。
コーヒーというものを初めて飲んだのは、小学校の低学年の頃だろう。家族でスキーに出かける車の中で、夜通し運転する父親の助手席に座って話し相手=眠気覚ましをするのが僕の役目だった。父さんのために自販機で買ってきたノンシュガーの缶コーヒーを少し貰い、なんだこの苦い飲み物はと顔をしかめた。もう15年以上も前になる。
その後は受験勉強の時の眠気覚ましにコーヒーを飲むようになり、気がつけばなんとなくこだわるようになった。コーヒー店でのアルバイトも経験して、自分の中で毎朝のルーティーンワークが決まった。お湯を沸かす。豆を挽く。ドリップをする。朝のうちに少なくとも2杯は飲む。
バイクの免許を取って東京を散策するうちに、カフェやコーヒーに詳しくなった。せっかく豊かなカルチャー集まる地域やおしゃれ感溢れる街に繰り出しても、お酒が飲めない。お金もそんなにない。腹はそんなに減らない。そういった場所における僕の目一杯の背伸び的消費行動は、とびきりに美味しいコーヒーと時間を楽しむことだった。
留学先の影響も大きかった。西海岸から始まったサードウェーブというコーヒーカルチャーの渦のまっただ中にあったSan Franciscoでの毎日。新鮮で美味しい一杯3$のコーヒーと、スタバやピーツなんかのにがーい1杯1.5$のコーヒー&エスプレッソと、ダイナーやドーナツショップで提供される薄い1杯1$のコーヒー。様々な種類のコーヒーに毎日囲まれていた。
そんなに舌が肥えていない僕にとっては、どのコーヒーも美味しく感じる。次第に、コーヒーとその周りで繰り広げられる人々の行動や感情が好きになってきた。コーヒーの美味しさについて。豆の産地と種類と特徴。カフェインの効能。様々な機器。そしてコーヒーの上で語られるたくさんの話、話、話。
僕のブログのタイトルにもなった"All Over Coffee"。その意味は、「コーヒーの上で繰り広げられる全てのこと」とか、「コーヒーを飲みながらのすべて」とか。San Franciscoで出会って一目惚れした一冊の本から拝借した名前だ。
(→"All Over Coffee" - Paul Madonna)
この本は親友に貸してしまってから返ってきていない。どうやらなくしてしまったらしい。また、西海岸のSan Franciscoに行く機会があれば自分で買い求めようと心に決めている。本当に好きなものはワンクリックで手に入れたいとは僕は思わない。
"All Over Alcohol(Beer)"でもいいかな、と少し思った。酒も好きだし。
でも、酒は1人で飲んでも楽しくないし、酒に酔うと人を殺してしまったりする。だったら酔うても犯罪にまでは至らないコーヒーのほうがいいやと、コーヒーに落ち着いた。半熟の哲学や下手な文化論、勝手な感情論を忘れずに書き留める作業能率があがるのであれば、やはりコーヒーはプラグマティックで悪くない。どこかにコーヒーステインを残そうとも。
コーヒーでも飲みながら、いろいろ、すべて。
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