9/01/2014

失われるものを唄うこと

「自然を大切にしよう」
沖縄出身のアーティストは、そんなメッセージを含む唄を多くつくり伝える。
「緑を増やして豊かな暮らしを…」似たような言葉は大都市に生まれ暮らす人も訴えるけれど、それはただのないものねだり。
ないものを欲しがる人の気持ちと、あるものが失われていく悲しさは、表現は似ていてもその実は大きく異なる。

悲しみは喜びよりも深く、強く、心に刻まれる。失うものが豊かで、美しく、そしてもう帰らないものだと知るほどに残る傷跡は、辛い。失恋ソングは巷に溢れているけれど、恋愛成就はあまり歌われない。恋と自然の源流は似ていて、安心感や豊かさを与えてくれるけれど、大切さは失うときまで気がつかなかったりする。沖縄の人々は失われゆくものの大切さを敏感に感じ、そうはさせまいと、行動する。唄う。


これ以上はないという、最上の自然を沖縄・西表島で見た。
ツアーには参加せず、島の人が勧めてくれた海に潜り、トレッキングを歩き、昼と夜の空を眺めた。海も、空も、山も、今まで僕が出会った自然の中でも最も雄大な姿を見せてくれたように思う。







宿で出会った素敵な人達に誘われて、滞在を延ばし、浜辺での音楽祭に参加した。
野外に組まれたステージからの音楽は、ときに愉快で、ときに悲しい。



「子供達に残そう、豊かな自然を」
決して優れた音響セット組まれているわけではなかった。
それなのに、言葉と音楽は、三線の調べにのり、強く響きわたる。
海と、山と、空に囲まれたステージ。自然が音を運んでいた。





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