6/06/2014

水の流れる都市は美しい

水の流れる都市は美しい。そう感じる毎日だった。
フランスのAnnecyでの学会を終え、足を伸ばして訪れたのはスイス・チューリッヒとジュネーブ。久々のヨーロッパの旅だった。


Annecyはヨーロッパ随一の透明度を誇る湖の都市。前回のブログで写真をたくさん載せたけれど、街には水路があり、さながら水の都ヴェネチアのような趣がある。旧市街を流れる水の音が、交通量の少ない街に溶け込む。橋の上のマルシェ、川端のカフェ、人々は水の流れを全身で肝心ながら日々を暮らし、この街での滞在を楽しんでいるようだった。


同じ様子がスイスでも見られた。
フランス語圏のチューリッヒとドイツ語圏のジュネーブは、街のつくりや雰囲気が驚くほど異なっていた。それらの違いは、おそらく、建国の成り立ちなんかにルーツがあって勉強不足で僕にはよくわからない。けれど、どちらの都市にも湖が接し、水路が流れ、そのほとりに人がいた。


ロンドンにはテムズ川が流れる。パリにはセーヌ川がある。ニューヨークにはハドソンリバー。ローマにはあまり有名ではないけれどテヴェレ川、そして有り余るほどの噴水。サンフランシスコは半島で三方を海に囲まれている…大都市の成り立ちに思いを馳せれば、当然、そこは必ず人とモノの交差点となった場所であり、海運・水運が発達した場所=水の流れる場所であったのは自然なこと。だから多くの都市にはランドマークとなるような海、川、水の存在がある。


「東京には、パリのセーヌ川のような川がありますかね…」
後輩がそんなことをつぶやいた。どうだろう。隅田川かな、でも、セーヌやテムズみたいに世界中の人を魅了する川ではなさそうだな…。東京の下町で生まれた人々は、もしかしたら、隅田川の流れを見つめながら愛やらなんかを語ったりしたのかもしれない(いや、でもそんな光景は似合わないと僕は思う)けれど、東京の西の下町に生まれた僕にとっての川や海の思い出は、荒川の土手を滑り降りていたぐらいのもの。水の流れを見つめた記憶はない。


流れる水の働きは、単に街を飾り物流を加速させるだけではない、測ることのできない影響を人々に与えていると僕は思う。それは人を見とれさせる美しさであったり、愛を語るパーミッションであったり、音楽を奏でたくなったり、人恋しくなったりする…そんな人の本質に近いものである気がする。


水の流れる都市は美しい。









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