9/19/2013

"Viva Mexico"

赤、白、緑。
三色の国旗を模した飾りは街中のいたるところで見られる。タクシーの運転席、家のベランダ、骨董品屋の軒先、タコスを売る屋台の壁。その日、それらの色合いは”Viva Mexico”の掛け声とともにいっそう濃くなっていた。916日、メキシコの独立記念日。僕はメキシコの歴史が始まった街であるSan Miguel de Allendeにいた。


生憎の雨模様であったけれど、雨らしい雨が全くふらないLos Angelesを後にしたばかりの身に、石畳を打つ雨の音が心地よい。深夜近くには現地に住む友達も「こんな雨はめったにふらないよ」というほど雨脚は強まっていた。しかし、広場に集まる人の熱気は高まるばかり。花火の音と光が広場を包む。マリアーチが奏でる音楽にのせて人々は踊る。レストランやバーからは愉快な音が漏れ聞こえてくる。


メキシコの歴史は闘いの連続。300年にも及ぶスペイン植民地からの独立、アメリカ、フランスとの戦争、そして2006年に宣言されたドラッグウォーは今も続く。そんな闘いを支えているのは、国旗の色にも見られるようなビビッドな自らの国に対する気持ち。独立のために戦った英雄を称える感情と、腐敗を導いた指導者に対する蔑む意見はとても強烈だ。
Viva Mexico”
「メキシコ万歳」 
 独立記念日近くに街を訪れたから余計にそう感じたのかもしれないけれど、この国の人は自らの国を愛している。つかの間の滞在であったけれど僕にはそう感じることができた。それはただ無知に愛するのではなく、英雄をしっかりと讃え悪者をしっかりと裁くことから始まっている。友人曰く、メキシコの腐敗は未だにひどい。それでも、自虐史観を持っている多くの日本人、未だにその感覚から抜け切れていない自分にとって、大きな声で"Viva Mexico"と叫び記念日を祝える様子はとてもうらやましく思えた。
"Viva Japan"
「日本万歳」と大きな声で叫べないのはなぜだろう。
自分の生まれた国を愛する気持ちを公にしてはならない雰囲気はどこから来るのだろう。

雨に濡れて輝く石畳を眺めながら、そんなことを考えた。






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